フリーランスとして仕事を始めた時に忘れてはいけないことがあります。それが「源泉徴収」です。
「源泉徴収」という言葉を聞いたことがあるものの、実際にどのようなものなのか理解出来ていないという方も多くいるのではないでしょうか。
会社勤めではよく「天引きされて払っている」という事が多いかと思いますが、フリーランスではどのようになるのか気になるかと思います。
源泉徴収の知識があると節税対策ができ、確定申告の時期に慌てることなく対応できるでしょう。
今回は源泉徴収の基礎となる部分を解説していきたいと思います。この記事を読み、源泉徴収の事が少しでもわかるようになれば幸いです。
源泉徴収の対象となる業務とは
源泉徴収の対象になる業務とはどのようなものがあるのでしょうか。
具体的には、次の8項目あります。
- 原稿料・講演料・デザイン料等
- 弁護士や司法書士、税理士、弁理士等に支払う報酬
- 社会保険診療報酬支払基金法の規定により支払われる診療報酬
- プロ野球選手やプロ格闘家、モデル、外交員等に支払う報酬
- 芸能人や、芸能プロダクション等を営む個人に支払う報酬
- 宴会等において、接待等を行うことを目的とするホステス等に支払う報酬
- プロ野球選手等が、役務の提供を約することにより一時に支払われる契約金
- 広告宣伝のための賞金、馬主が受ける競馬の賞金
以上となります。
分からない際は国税庁のサイトや税務署に直接確認確認を取り、対処できるようにするといいでしょう。
そのためホームページ制作においては、デザインを含む場合、その報酬額は源泉徴収の対象となることを覚えておきましょう。
フリーランスに支払う報酬の源泉徴収
フリーランスに支払う報酬の源泉徴収は所得により計算が変わってきます。
そのため2つに分かれており、下記の通りとなります。
- 100万円以下の場合
- 100万円以上の場合
では、実際の計算方法をみていきましょう。
100万円以下の場合
計算式は以下のようになります。
「源泉徴収税額=支払金額×10.21%」
では、例を挙げてみましょう。
支払金額が70万円の場合は次のような計算式となります。
- 計算式:70万円×10.21%=71,470円
- 手取り金額:70万円‐71,470円=62万8,530円
源泉徴収額は、「71,470円」です。
上記の10.21%ですが、10%の所得税と0.21%(東日本大震災復興特別所得税額)になります。この東日本大震災復興特別所得税額は2037年、令和19年12月13日までとなります。
100万円を超える場合
計算式は以下のようになります。
「源泉徴収税額=(支払金額‐100万円)×20.42%+102,100円」
では、例を挙げてみましょう。
支払金額が300万円の場合は次のような計算式となります。
- (300万‐100万円)×20.42%+102,100円=510,500円
- 手取り金額:300万円‐510,500円=248万円9,500円
以上となりますが、確認する必要のあるものがあります。それは、受け取った報酬が「税抜」なのか、「税込」なのかという点です。
もし、受け取った報酬が「業務の報酬」と「所得税」に分かれているのであれば、業務報酬のみが源泉徴収の対象になります。しかし、受け取った報酬が「業務の報酬」+「消費税」の合算だった場合においては合計金額が源泉徴収の対象になります。
少し難しい話ではありますが、必ず知っておく必要があるものなのでしっかり把握し、クライアントと問題が起こらないようにしましょう。
源泉所得税額をおさめる義務があるのは「払った側」
源泉徴収が必要な報酬であるのにも関わらず、もし源泉徴収をし忘れてしまった時、どのような問題が起こるのでしょうか。
報酬を受け取る側なのか、それとも支払う側の問題なのかという点です。
これは「支払う側の問題」となります。
源泉所得税額を税務署に納める義務があるのは「支払った側」と定められているのです。
ここではどのような納付方法があるのか、また納付期限はいつなのかをお伝えしますので、忘れないようにしましょう。
源泉徴収の納付方法
源泉徴収の納付方法は税務署でもらえる用紙に記載をします。
ここでは簡単に記載事項をお伝えします。
- 納期等の区分:報酬や料金など支払った年月を記載
- 人員:その月に報酬を支払った実人員を記載
- 支払額:その月に支払った報酬、料金等の総額を記載
- 税額:上記にあげた計算方法で算出した金額を記載
この他には、年度や税務署名などを書く箇所があります。もし「延滞税」がなければ、そのまま書いた金額の合計を記載すれば問題ありません。
最後の合計金額には「¥」マークを忘れないようにしましょう。
源泉徴収の納期期限
源泉徴収が必要な場合は、支払があった月の翌月、10日までに税務署へ納付をする必要があります。もし納付期限を過ぎてしまうと期限の日から実際に納付するまでの日数により「遅延税」、また「不納付加算税」などが加算されることを覚えておいた方がいいでしょう。
やはり遅れてしまうとその分余計にお金がかかってしまうため、避けたいところ。
ただ、毎月納付するのが難しいという方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方に関しては年2回にまとめて納付できる特例措置があります。
特例措置の対象となるのは、給与を支払う従業員が10人未満である源泉徴収義務者(依頼主)です。特例措置の対象者は源泉所得税の納期を「特例の承認に関する申請」として税務署に提出することで特例とみなすことができます。
原則としては申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされ、承諾を受けた月の源泉所得税から納付の特例の適用を受けることができるのです。
とはいえ、出来るだけ早くに手続きをすることが大切です。
フリーランスが源泉徴収の還付を受け取る方法
報酬の源泉徴収をされるクライアントから源泉徴収票が発行されます。
クライアントから発行された書類をまとめて申告しに行きましょう。
手続きをして、もし納める税額を超えていた場合はその分の差額が還付金として戻ってきますので、忘れないようにしたいですね。
確定申告は、毎年2月15日〜3月15日に、前年の1月1日〜12月31日までの所得を申告する必要があります。
その際、用意する必要があるのが下記の内容です。
- 1年間の売上、1年間の必要経費が分かる書類
- クライアントが発行した支払調書(年間支払い額が5万円以上の場合となります)
- その他、生命保険料控除など必要な書類
以上3点を用意し、申告をしましょう。国税庁が提供する「e-Tax」を使用して、電子申請をすることも可能です。
確定申告書を作成すると課税対象額と収める所得税が計算され、既に納税済みの所得税額が収める所得税を上回っていた時に、還付金が指定口座に振り込まれるのです。
申告しておよそ1カ月程度かかることを想定しておくと良いです。
面倒な手続きではありますが、毎年のことですから早めに準備をして簡単に手続きができるようにしておくと良いのではないでしょうか。
まとめ
ここまで、ホームページ制作における源泉徴収について書いてきました。
フリーランスだからといって手続きを怠ってしまうと、損をすることがあります。
まずは源泉徴収の対象となるのか。対象となるのであれば、どのように申告をするのか。
払いすぎた税金は、きちんと還付されます。
今回は基本的な事だけを書いたためにまだ分からないことも多くあるかと思いますが、これをきっかけに源泉徴収のことについて何か考えるきっかけとなれば幸いです。
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